Sunday, September 07, 2008

「隠し撮り」の本当の問題

今回の場合、「隠し撮り」が問題だというよりも - 宮本大人のミヤモメモは、所謂“デジタルアーカイブ”を考えるうえでも示唆に富むエントリである。大阪府の橋下知事が、大阪府立国際児童文学館の「実態」を調査するために、私設秘書にビデオカメラを持たせて隠し撮りをした、という話である。

この話を聞いて、ほぼ毎年ゼミで読んでいる新谷尚紀「映像民俗誌論—『芸北神楽民俗誌』とその制作の現場から」(『民俗学の資料論』、吉川弘文館、1999)を思い出した君は鋭い。



この論文では、ビデオなどによる撮影や編集の恣意性の問題――ひっくり返して言えば、カメラに写ったものはありのままの「事実」であると考えてしまう、カメラの透明性の問題――を様々に論じているものである。この論文では「隠し撮り」はむしろ(倫理的に問題があるにせよ)恣意性を排除する方法のひとつとして論じているが、上の宮本氏のエントリでは、隠し撮りであっても撮影者の恣意姓を排除できないことを指摘しており、新谷氏の論文を補強するものであるだろう。

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